学科・専攻紹介
数と空間を研究し想像する楽しさ
数学科・数学専攻
海外の研究者との共同研究が、活発に行われている学科です。
単なる計算技術ではない現代的で美しい理論、本物の数学を身近に感じて下さい。
カリキュラムの概要〜なにを学ぶか〜
本数学科では数学を基礎からしっかり学ぶことを通して論理的な思考力や数学に対する直観力を養い、数学の奥深い魅力を理解して貰うことを目標としています。
学部のカリキュラムは、1,2年次に主として基礎的な専門必修科目、3年次に多くの選択科目を配してあり、これらにより現代数学の基本的な部分を身に付けることが出来ます。これらの科目の多くは講義と演習が組になっており、問題演習を通じて講義内容の理解を確実なものとするよう配慮されています。また1年次に7,8名単位の「数学基礎セミナー」を行うなど、少人数のセミナー、輪講を豊富に配し、学生自身が能動的に数学に取り組むことを重視しています。そのうえで4年次には、全員がそれぞれ希望する研究室に所属し、専門テーマを研究する「数学特別研究」が行われ、その成果は卒業研究発表の形にまとめられます。
大学院では指導教授の下、各自の選んだテーマを研究し、新しい結果を得ることを目指します。また上智、立教、中央、津田塾など都内11大学院との間に単位互換制度も設けています。
数式処理ソフト「Maple」の活用
数式処理ソフトというのは、数値だけでなく変数を含んだ数式の計算をコンピューターに行わせたり、グラフィクス機能により図形を表示したりするためのソフトで、最近の計算機の性能の向上にともなって、利用の範囲が急激に広がっています。Mapleは代表的な数式処理ソフトの1つで、世界中で利用されています。学習院大学ではMapleのサイトライセンスを購入しており、キャンパス内のコンピューターすべてで自由にMapleを使うことができます。また、数学科には学生ライセンスもあるので、数学科の学生は自宅でもMapleを利用できます。
数学の(ほとんど)あらゆる分野の学習・研究にMapleは有益なので、数学科ではMapleの積極的活用を推奨していて、そのために、入門マニュアルの作成、Maple活用のための授業、大学院生のTAによる実習指導などを行っています。また、卒業研究を行う4年生や大学院生が、因数分解の効率や楕円曲線の有理点の研究にMapleを利用しており、今後もMapleの活躍分野が広がっていくことが期待されています。
活発な共同研究
教員あるいは大学院生の活発な研究活動にともなって国内・海外を問わず共同研究が活発に行われています。
数学研究は、数式と論理的思考だけあれば可能で、文献をにらみながら計算するだけで十分と思われがちです。しかし、“もの”を扱わない学問である数学では、研究者同士の対話がきわめて重要です。直接の対話によって研究の動機やアイデアの源泉などの理解が深まり、さらに新しいアイデアが生まれてくるのです。
そのため、ディスカッションの場である研究集会が頻繁に開催され、本学科の教員も、研究成果を発表しあるいは他の研究者から新しい知見を得るために積極的に参加しています。
また、毎年様々な分野の外国人研究者が長期間あるいは短期間滞在し、数学科の研究活動だけでなく教育活動にも刺激を与えています。
在校生・卒業生の声
興味をひく授業で、
さらに数学が好きになった3年間。
数学科3年生
-
高校の数学科の先生が、すごく楽しそうに数学を解いていた事が印象的で数学科を選択しました。
1年目は今後の基礎にあたる必修科目を、2年目は必修科目に加え、専門的内容にあたる選択科目を受講していきます。
必修科目の多くは演習授業が設けられていて、講義で論理の構造を学び、演習で自ら理論を構成し、より深く理解ができるようになります。複雑な定理も実は基礎で学んだ事が拡張されるなど、難解な議論にも初等的な理論が使われているので、必修科目こそより深い理解が求められると思います。
大学に入学して、さらに数学が好きになりました。その1番の理由は、解らない事に関心を持ち、理解したいという思いが強くなった事です。これは、興味を惹く授業と、疑問に思い質問すると丁寧に対応してくださる先生のサポートのおかげだと思っています。
今、興味がある分野は複素解析学です。私たちの世界にはない虚数を含む複素数の世界では、私たちの世界で成り立つ結果よりも綺麗な結果が得られます。この事を複素関数論という講義で学び、興味を持ちました。今後、複素数についてより深く研究できたらと思っています。
深く研究することで、
今までとは違う世界が見えてくる。
修士課程1年生
-
現在、確率論について研究していますが、実は高校時代に最も苦手だったのも確立に関わる単元でした。苦手なテーマをなぜ研究するのか、と思われるかもしれませんが、高校で学んでいた確率論と大学のそれとでは、全く違うものだったのです。
大学で学ぶ確率論は、統計学的応用があり、非常に興味深いです。
よく知られた話ですが、「中心極限定理」という定理が統計学では用いられます。例えばテレビの視聴率データは、関東だと900世帯で調査されているそうなのですが、ここで得られた数値がどの程度信頼できるものか求められます。ここでだいたい3%くらいの誤差は見積もらなければならないことがわかるのですが、この誤差を0.3%にしようとすると、今度は90000世帯で調査をしないといけないことがわかります。こういった統計データにも役立つ理論は、他にも保険商品の開発など広く応用されています。
自分の興味のある分野について、より深く研究できる大学院という場は、とても有意義な場所です。将来は、ここで学んだことを活かし、中学あるいは高校の先生になりたいと考えています。
身に付いたロジカルシンキングは、
一生の宝。
卒業生
-
学習院卒業後、IT企業のシステムエンジニアを経て、国家資格である1級キャリアコンサルティング技能士資格を取得しました。現在は独立し、フリーのキャリアコンサルタントとして、学生、社会人、転職希望者の人生設計を共に考える仕事をしています。
実は、学習院大学には理学部出身者による、理学部就職支援委員会があり、私もこの委員会のメンバーとして、理学部生の就職の支援活動を行っています。
数学科で学んだことが直接生かせる仕事は少ないと思います。しかし、数学科で学んだ論理を積み重ねていく訓練=ロジカルシンキングは、実はどの仕事・職場にも役立つ大切な考え方です。
いかなるビジネスにも役立つスキルを身につけられるという意味で、学習院大学で学んだ数年間は非常に貴重な時間です。
1985年3月 | 学習院大学理学部数学科卒業 |
1985年4月 | 日本ユニバック(現 日本ユニシス)株式会社 入社 |
新人研修終了後、教育部門に配属され、社内のSE教育を担当。その後、SE部門や社内システム部門を経由し、人事部門に異動。社員のキャリア開発支援に関わる。その後、独立し、現在はフリーのキャリアコンサルタントとして活動。
数学科・数学専攻ホームページ
数学科の教員紹介、セミナーや談話会のご案内、数学科・数学専攻に特化した入試情報、シラバス等を閲覧することができます。教員紹介のページには教員が独自に構築したページへのリンクもあります。