学科・専攻紹介
生命科学科・生命科学専攻
研究結果は医薬や創薬などに貢献する可能性が大きいことから、社会による関心と期待も日々高まりつつあります。生命科学科で「知の興奮」を体験してください。
生命科学について
従来の生物学は生き物を観察し、分類、記述することが中心でした。しかし、ワトソンとクリックによる DNA の二重らせん構造の発見を契機として、遺伝子に書き込まれた生命の設計図が明らかになり、これまで謎であった生命について、物質である分子の振る舞いから理解されるようになり、また、生物を構成する細胞から個体に至るまで生命の連続性も明らかにされてきました。こうして、現代の生命科学は物質から生命へ、生命から精神の理解へと発展し、生命の謎の数々を解き明かそうとしています。
近年の生命科学の発展は目覚ましく人口の爆発的増加による食料問題、環境汚染、高齢社会、医療に対して生命科学の研究から解決の糸口が見出されています。また、哲学、考古学、心理学、経済学といった文系の学問とも融合した分野が形成されつつあります。生命科学は今や個体だけではなく個体集団である社会を理解する上でも必要な学問となりました。
学習院大学 生命科学科
8つの研究室、すなわち8名の教授と8名の助教からなる比較的小さな学科です。しかし、最新の研究施設を備え、発生、再生、遺伝、進化、老化、蛋白質構造、神経など生命科学の様々な謎を解明を目指して世界でリーダーとして活躍するトップレベルの教授陣が最先端の研究を進めています。
生命科学科では少人数の体制により、分子細胞生物学を共通の基盤として、生化学、生物物理学、分子生物学、細胞生物学などの「基礎生命科学」、発生学、生理学、植物科学、神経生物学などの「統合生物科学」に加え生態環境科学、免疫生物学、バイオインフォマティクスなどの幅広い生命科学分野を学びます。さらに、新しく開講した「生命社会学」では様々な社会問題に関して生命科学だけではなく法学、経済学、心理学、哲学からの視点を他学部学生と議論をしながら学びます。
生命科学科の教育は基礎から最先端の知識を学び、それを実践することに重きが置かれています。特に豊富な実習プログラムがカリキュラムに加えられ、最新の設備を使って自らの手を動かして実験を行い、自らの頭を使って結果を議論する教育が大きな特徴です。実際には3年次までにそれぞれ異なる研究分野で研究に使用される機器を用いた実習が行われ、4年次になると各研究室で最先端の研究につながる研究テーマが与えられ、1年間卒業研究に従事します。大学院生は研究者として自ら研究テーマを選択し、その結果を論文の形であるいは国内、国際学会で発表する機会が与えられます。世界の一線で活躍する教授陣が学部生、大学院生と同じ目線で議論する機会も多く学部生、大学院生でも世界的な発見をする環境が整っているといえるでしょう。
在校生・卒業生の声
小さい頃からの淡い憧れを、
学ぶ環境にできた喜び。
生命学科2年生
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小さい頃からテレビの動物・自然番組をよく観ていて、淡い憧れを持っていました。その中でも、科学のフロントを特集するような番組を楽しみにしていて、自分もいつかそんな世界に飛び込んでみたいという思いから生命科学科を選択しました。
高校の生物では生物機構のアウトラインを学びますが、大学ではぐっと踏み込み、論理的にその現象を説明できるよう、分野ごとに具体的な知識を蓄えていきます。
今までテレビを通して何気なく触れていた知識を、信頼できる教授のもとで学び、内化していくことで自分の言葉に表せるようになり、楽しいと同時にますます知りたいという気持ちになります。
また、学内で学ぶだけでなく、野外生命科学1という授業では相模原の方まで行き、昆虫を採集しました。採集した昆虫をサンプルにして生殖器官を観察するためです。まさかこんな都会にある大学でこのような経験ができると思っていなかったので、とてもワクワクしました!
自分たちで採集したサンプルを観察する嬉しさもあり、非常に楽しかった授業として印象に残っています。
学生でありながら、
医療の発展に関与できる可能性。
修士課程1年生
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現在、アルツハイマー病の原因物質とされるタンパク質について研究しています。アルツハイマー病の原因物質として考えられているタウタンパク質が、神経細胞の中でどのような役割を担っているか、顕微鏡を用いて観察を行っているのです。
認知症は、超高齢社会である日本はもちろん、世界においても大きな問題になっている疾患です。私たちは、その認知症の治療薬開発におけるターゲットを探るためにタウタンパク質の役割や、なぜ認知症を引き起こすかについて研究を行っています。
こういった、身近でありながら治療方法のない疾患について研究を行うことができれば、学生という立場でも医療の発展に関与できると思います。
また、大学院では授業が少なく研究に集中することができ、他大学の授業も単位に含められるようになるため、広い分野について深く学ぶこともできます。
生命科学科は1学年50名ほどと人数が非常に少なく、ほとんどの座学や実習を全員で受講しているため、同期間のつながりも強く、卒業時には全員の顔と名前を覚えているほど親密な関係を築くことができるのも魅力です。
大学で身に付いた、
能動的なコミュニケーション姿勢。
卒業生
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現在、大日本印刷株式会社でパッケージ開発の仕事に携わっています。
社内外の方と積極的にコミュニケーションをとりながら仕事をしていますが、その姿勢は大学で身に付いたものかもしれません。
大学ではタンパク質の構造解析を研究していました。これは「X線を照射する数少ない機会を無駄にせず、効率的に研究を進める事」が大切になります。測定結果から次回の測定時期までに、適切なアプローチ方法を行わなければいけません。そこで、指導教員とのコミュニケーションを取る姿勢が養われ、現在の仕事にも活かされていると感じています。
学習院大学の面倒見のいい校風が、結果的に仕事にも必要とされる姿勢を育んでくれるのだと思っています。
2017年3月 | 学習院大学大学院 自然科学研究科 生命科学専攻 博士前期課程 修了 |
2017年4月 | 大日本印刷株式会社 入社 包装事業部 技術開発本部 基礎開発部 勤務 |